2011年03月24日

食事について

このたびの震災について、登山医学会として、低体温の予防を呼びかけたり、先生方がその技術を活かして力強い活動をしていらっしゃるのを目の当たりにし、自分も現地に赴きたい気持ちと、しかし中途半端な自活能力のために躊躇してしまう情けなさ、もどかしさを感じています。

すでにお話が出ているかもしれませんが、登山医学会として、低体温予防に関連して、栄養の面から提言ができるのではないかと思います。登山、特に冬山では高タンパク、高カロリーで、調理しなくても食べられるもの、かつ保存のきくもの、という基準で非常食や行動食、食事として準備すると思います。万一の冬山遭難を乗り切ることもあります。
その具体的な食品をあげて、自治体などからの食糧支援の参考にしていただけるのではないかと思います。

個人的には、ドライフルーツ+ナッツ入りの雑穀パン、チーズを持っていくこと
があるのですが、他にも、それぞれ工夫があると思います。

他の先生方もご多忙のことと存じます。どうぞご自愛くださいませ。


東京女子医科大学麻酔科
星 郁恵
posted by 日本登山医学会ブログ at 15:58| Comment(0) | 低体温症

2011年03月19日

被災者の方へ低体温対策情報

日本登山医学会に所属する救急救命専門医・国際山岳認定医より被災地の方へ向けた低体温対策の情報が発信されています。2005年に発生したパキスタン地震では、避難している方々の多くが低体温症により死亡しました。明日15日から気温も下がるので、早めに対策と準備をしてください。室内にいても低体温症になる可能性もあります。

追記(18日)被災地では、徐々に携帯電話が復旧し始めているようです。こちらのページは携帯電話でも確認できるので、このページをご覧になった方で、被災地と連絡が取れている方は、メールなどでこちらの情報(アドレス:http://jsmmed-tozanigaku.sblo.jp/)を被災者の方々へ届けるよう周知活動のご協力をお願いいたします。また、平行して当学会では、テレビ・ラジオ等マスコミ関係者と協力して広く周知する活動を継続しております。

一般の人向け <避難場所での低体温症対策>
屋外に退避して救助を待っている方々、避難所でも十分な暖房がなく寒冷環境にいらっしゃる方へ、低体温症にならないために、以下のような点に注意することをお勧めします。
○なぜ低体温症になるのか?
・ 低体温症は、体の外に奪われる熱と自分で産生する熱のバランスで、奪われる熱が多いときに体温が維持できずに起こります。従って、それほど寒くない環境でも、栄養が足りなかったりすれば起こりますし、特に、お年寄りや小児などでは、起こしやすいので注意が必要です。
○低体温症になりやすい人・なりやすい状態
・お年寄り、小児
・栄養不足や疲労
・水分不足 
・糖尿病、脳梗塞など神経の病気がある人
・怪我をしている人
○低体温症に気づくには?
手足が冷たくなったり、寒くて震えます。
体の中心の温度が35℃まで下がると低体温症ですが、震えは中心の温度が37℃から始まり、体に警告サインを出します。ここでのんびりしていると、本当に低体温症になります。震えがあるのは、熱を上げるエネルギーが残っている証拠です。ここで改善するのが一番安全で、早道です。
○低体温症の対応が遅れるわけは?
初期の低体温症は、心臓発作のように緊急性が高くないので、もう少し・・と言ううちに、気づくと悪化してしまいます。
○体温測定は?
一般の体温計で体温を測っても低体温症の診断にはなりません。
低体温症の体温は個人差がありますので、測定する必要はかならずしもありません。
とにかく、震えがあるか、意識がしっかりしているか、を確認して下さい。
○震えが始まったら何をすればいいのか?
1。隔離  冷たいものからの接触をさけます。地面に敷物をしたり、風を除けたり、濡れた衣服は脱いで下さい。着替えが無くても、濡れたものは脱いで、毛布などにくるまって下さい。
2。カロリー補給  何よりカロリーで、体温を上げるエネルギーを補給することが大切です。
3。水分補給  体温が下がると利尿作用が働いたり、体内の水分バランスが変化し、脱水になります。温かくなくてもいいですので、水分をとります。温かければ、さらに理想ですが、まずは水分補給です。
4。保温・加温  体温を奪われないために、なるべく厚着をして下さい。顔面・頚部・頭部からも熱の放散が大きいので、帽子やマフラーなどで保温して下さい。毛布などにくるまる場合は、一人でくるまるより2−3人でくるまった方が暖かいです。特に、老人や小児など弱い人には、元気な人が寄り添って一緒に包まれると保温効果があります。
屋外場合は、これ以上濡れないように、湿気から隔離できる衣服やビニール素材などがあれば、くるまって下さい。震えがある段階では、どんな温め方をしても大丈夫です。
○悪化のサインは?
震えがなくても低体温症になっていることもあります。
見当識障害(つじつまの合わないことを言う)、ふらつくなども、重症な低体温症の症状です。また、震えていた人が暖まらないまま震えがなくなって来るのは重症になっている証拠です。
○震えがなくなったり、意識がもうろうとしてきたら?(19日加筆・修正)
震えが止まってしまった低体温症は、自分での回復は難しいです。急に悪化する可能性もあるので、できれば、至急病院に搬送しましょう。ただ、避難所によっては搬送が困難だったり、危険を伴うことも考えられます。その時は無理をせずに、以下のような対応をして下さい。
これ以上体温が低下しないよう、今まで以上にしっかり加温をしてください。またコマメに、意識が悪化していないか、呼吸をしているか、確認して下さい。また、この状態では、丁寧に扱い、可能であれば横に寝かせて下さい。さすったり、乱暴に扱うと、心臓が止まるような不整脈を起こすことがありますので、注意が必要です。
この状態では、
1。むせないようであれば、カロリーのある飲物をのませてください(低血糖や脱水を伴っていることが多いです)
2。ペットボトルなどに、人肌程度のお湯を入れて湯たんぽを作り、脇の下・股の付け根・首の回りに当てる(42℃を超えた湯たんぽは、長時間当てるとやけどをするので注意)
以下の場合は、病院への搬送の必要性がさらに高くなります。
・ 加温を開始しても意識が悪くなる場合や呼吸状態が悪化する場合
・ 半日以上加温しても変化のない場合
・ 怪我をしている場合、糖尿病や脳梗塞がある場合、子供、高齢者は体温の回復が困難なことがありますので、病院搬送の判断を早める必要もでてきます。

追記(17日)
暖房器具がない場合は、なるべく小さな空間に多くの方が入ると人の体温で空間内は暖められます。

例@避難所には運動会などで使う白い大型テントなどがあるはずです。それらテントの三角上部だけを体育館などの室内四隅に設置する。床には支援物資などで使われた段ボールなどを多く敷き詰め、床からの冷気を防ぐ。出入り口用の切り目を両サイドに入れる。その中になるべく多くの人が入る。救援物資でキャンプ用テントが届いている場合でも、室内で使われていないようなので、室内にテントを建てる事も有効です。テントは屋外で使うものという固定概念をなくしましょう。

例A救援物資が送られてきたら使用済みダンボールが大量に出てくると思いますので、ダンボールハウスを作るのも一つの手段です。

避難所の多くは、アリーナや体育館などなので、そのままでは熱がどんどん逃げていきます。テントやダンボールを使った小さい空間は、中に入った人の熱で暖められ逃げにくいので、中に体力の低いお年寄りや子供を多く移動させます。全員がすると混乱も生じると思うので、体力弱者から入れてあげると良いです。ただし、その中で暖房器具などを使うと一酸化炭素中毒を起こす恐れもあるので、注意が必要です。

追記(16日)
このブログでは、避難所で過ごされている方からの質問対応コメントを受け付けています。被災現場に行けない当学会所属医師・関係者も、気持ちは避難所にあり、多くの方の命を救いたいという気持ちは変わりませんので、できるだけ対応させていただきます。
被災地にいらっしゃる被災者の質問を優先すべく、一般の方の匿名・ぺンネーム等での返信コメントは削除させていただきます。質問に対する返事は、当学会医師が所属と氏名を明らかにして対応させていただきます。
posted by 日本登山医学会ブログ at 06:42| Comment(21) | 低体温症

体育館などの避難所で暖をとる方法

暖房器具がない場合は、なるべく小さな空間に多くの方が入ると人の体温で空間内は暖められます。

例@避難所には運動会などで使う白い大型テントなどがあるはずです。それらテントの三角上部だけを体育館などの室内四隅に設置する。床には支援物資などで使われた段ボールなどを多く敷き詰め、床からの冷気を防ぐ。出入り口用の切り目を両サイドに入れる。その中になるべく多くの人が入る。救援物資でキャンプ用テントが届いている場合でも、室内で使われていないようなので、室内にテントを建てる事も有効です。テントは屋外で使うものという固定概念をなくしましょう。

例A救援物資が送られてきたら使用済みダンボールが大量に出てくると思いますので、ダンボールハウスを作るのも一つの手段です。

避難所の多くは、アリーナや体育館などなので、そのままでは熱がどんどん逃げていきます。テントやダンボールを使った小さい空間は、中に入った人の熱で暖められ逃げにくいので、中に体力の低いお年寄りや子供を多く移動させます。全員がすると混乱も生じると思うので、体力弱者から入れてあげると良いです。ただし、その中で暖房器具などを使うと一酸化炭素中毒を起こす恐れもあるので、注意が必要です。

日本登山医学会評議員 安藤隼人
posted by 日本登山医学会ブログ at 05:00| Comment(4) | 低体温症