2011年03月31日

東北大震災医療支援隊その4

3/26(土)
 午前の巡回診療は小滝地区から始める。十三浜ではもっとも遠く海に飛び出し た突端にある。ここから小尾根を越えて回り込めば南三陸町となる。
 まず、脊髄小脳変性症+DMの患者さんのいるお宅を往診する。枝尾根の末端部あたりに立っているそのお宅からは両側に見える浜の港周辺施設・家屋は全て壊滅状態である。3艙あるうちの2艙を失った漁師の方は、家も加工場も翌日出荷の予定であったわかめやホタテを入れた倉庫もすべて失った、沖合にある養殖所も壊滅した、と語る。この家のような高台は無事だったが、この自宅待機状態の方には、電気水食料の配給が滞っている。とくに夜間の明かりに苦労されている。ビクトリノックス・ジャパン株式会社のペンライトはとても喜ばれた。
 小滝公民館の避難所で10名ほどの診察。ほとんどの方の正確な医療情報は得られない。「どこの病院にかかられていましたか」「あの、無くなってしまった志津川の病院です」その時点ではこの意味が理解できなかったのだが、とまれ、震災地の患者さんは家や家族を含めすべてを流されてしまい、自らの医療情報ももちろんそうである。どのような病気でどのような治療をしてきたかが、全くわか
らないまま被災者の治療が細々と行われている。病院もろともすべての情報が消えてしまう可能性のある災害医療においても、どこからでもアプローチ可能なPHR システム:どこでもMY病院システム http://gocce-duva.com/myh/ が必要だと痛感される。
 最後にもうひとつ往診。重度のRAの方である。南三陸町で夫婦もろとも流されぎりぎりで救出された。ご主人は油の浮いた海水を飲んで臥せっていたが、昨日吐血してお亡くなりになったという。膝や腰が痛くて動けない。数日前にもらった薬の中には、いままで服用していた最新のRA治療薬が含まれていない。対策本部にある薬剤だけでは足りないのである。緊急の消炎剤だけお渡しし再度来るこ
とを約束する。夜間用シート×1パックをお役にたててもらう。


14:00 相川の避難所(子育て支援センター)にて診察・物資供給
 10名程の診察を行う。今日はリーダーのS氏(66)が、熱を出して寝込んでいる。自宅が流されてから2週間。2月に完成したばかりで正式にはオープンしていない子育て支援センターと保育所を避難所として立ち上げ、当面の衣食住の対策を陣頭指揮してきた。3キロ先の山中から湧き水をパイプで引き、まきを集めて大釜に湯を沸かし、がれきの中からプロパンガスのボンベをかき集め、煮炊き
に供する。「浜に近い集会場は全て津波で流されました。ここがなかったらどうなっていたか、」と話すセンターで170名の被災民の一人として雑魚寝の生活である。
 自衛隊が入り、お風呂サービスが昨日から可能になった。食料はなんとか輸送されるようになったし、NTTがようやく衛星電話をセットしてくれた。我々のような医療チームも入ってくる。少し安堵してどっと疲れが出たのですよ、と保健師の阿部裕美さんが話す。急性期、亜急性期を経てそろそろ長期戦の体制に入る時期なのであろう。
 170名では狭い避難所スペース。低体温症対策やプライベート空間としてテントを提供。昨日のマットも。ペンライト約40ケ、ナイフ約10本。

16:00 大指の避難所(林業者生活改善センター)
 大指地区38軒のうち流されたのが13軒。残ったのが24軒。浜の港はカオスである。船は腹を見せ魚網は林に絡みつく。家はばらばらにされ車が丘に登る。地区の船はすべてやられた。漁協の建物も消えた。わかめ、ほたて、かき、収穫物だけではなく、沖の養殖場もぜんぶやられた。三陸すべてがやられた。
 これほどの力がやってきたにも拘わらず、行方不明者はたったの一人だけである。浜の人は、海が引き始めたとたんに皆逃げた。川沿い地区の人は堤防に登って津波を見物していた人もあるという。ある小学校では、下校時に当たり30人もの小学生が呑み込まれたという。
 ここには90名ほどの被災者がいる。10名程の診察を行う。
公民館に泊っているのは30人程度。残りは寒い自宅にいる。もっとも遠い避難所の一つであるので、NTTの衛星電話サイビスからも漏れている。電気水ガスはもちろんない。物資供給も十全ではない。物資の提供を行う。夜間用おむつシート×4パック、マスク500ヶ、ペンライト約40ケ、ナイフ約10本。ミネラルウォーター48 。テント6人用×1。自転車×1 シ-ト×2 カセットコンロ×2、ボンベ×12 ウェア×3 新品タオル×10など。

本日の安藤ミルク配達隊は、
・仙台市宮城野区 ヘルシーハット
・名取市役所社会福祉課子ども福祉係
・塩釜市役所対策本部総務課
・石巻赤十字病院
に、アレルギー用ミルク+アレルギー用食材、診療材料などを届けることができた。

 今晩はこのセンターの片隅をお借りして寝る。
posted by 日本登山医学会ブログ at 18:54| Comment(0) | 支援
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